☆新市の名称☆ 南九州市になりました。
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「合併すると荒茶生産量はトップの牧之原市(静岡県)を大きく上回る一万三百トン。質量ともに日本一を目標に、既に動き出した。 |
--------南九州市の誕生-----------南九州市誕生を祝いたい
頴娃、知覧、川辺三町が合併して南九州市が誕生した。三町が培ってきたさまざまな資源をさらに磨き、個性豊かな新市の発展につなげていかなくてはならない。
特に期待されるのは食料供給基地としての魅力と将来性である。新市の名称にも、工業地帯の北九州市に対抗して農業地帯を目指す強い意気込みが感じられる。 農業を軸とした地域振興へ市民と行政が一体となって取り組んでいきたい。 南九州市の二〇〇六年の農業産出額は鹿屋市に次いで県内で二位、全国でもトップレベルだ。 茶(生葉)やサツマイモ、ニンジン、葉タバコなども県内一、二位を争う産地である。温暖な気候と広大な畑地が農業県の一翼を担ってきた。 特に、茶は新市の農業生産額の約三割を占めるだけに農業の柱になる。三町はいずれも県内屈指の茶産地だ。お茶どころ「南九州市」を大いに発信したい。 だが生産者には危機感がある。ペットボトルの普及で、きゅうすで飲む「リーフ茶」の需要が減り単価が低迷しているためだ。新たな戦略も必要になる。 さらに、全国茶品評会でこの十年間に八回産地賞を獲得した知覧のブランドをどう生かすかも考えたい。相乗効果をもたらす前向きな方策が欠かせない。 観光は農業と並ぶ重要な産業だ。特攻平和会館や武家屋敷群のある知覧には年間およそ百万人が訪れる。また「アグリランドえい」や清水磨崖仏も含めた広域的な観光戦略を練り、川辺仏壇の伝統の技を知名度アップに役立ててほしい。 合併によって一層の充実を図りたいのが農業と観光を結びつけた振興策だ。そのためには観光客がもっと地元に滞在できるような受け皿づくりを急ぎたい。 平和学習とともに農業を体験する修学旅行生の受け入れは進んでいるが、さらに幅広い世代を対象に体験型観光を売り込みたい。 自然や文化と触れることで定住促進にも弾みがつくのではないか。 南九州市の誕生で県内の市町村は四十六に減った。先行した自治体の例を見ても合併の効果は一朝一夕に上がるものではない。近隣の市とも競いながら、農業を軸にした地域振興のモデルケースとなるよう市民と行政は知恵を絞っていきたい。薩摩半島全体の振興を考える上でも南九州市の役割は小さないだろう。 [2007年09月17日:朝刊 南日本新聞掲載] |
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